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TAKASHI BLOG

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

Written by Takashi Yamanaka

 

さて、僕は何を隠そう、音楽が大好きな人間なのですが、今日紹介する本は自身が大好きなバンドでもある、グレイトフル・デッド関連の本。

実は、グレイトフル・デッドはあのビートルズや、ストーンズより儲けた伝説のバンドなのだ。

このグレイトフル・デッドというバンドをお手本にした会社が、国際的トップに成長し、その企業カルチャーが世界中から注目を集めている。 彼らはビジネス界にどのような風を吹き込んだのか?

グレイトフル・デッドとは?

皆さんはグレイトフル・デッドというロックバンドをご存知でしょうか?おそらくほとんどの方が知らないのでないかな。

日本ではビートルズほど有名ではないし、これと言ったHIT曲も無い。

しかし、実はオバマ前大統領や、今は亡きスティーブ・ジョブズもファンだった伝説的なバンド。

グレイトフル・デッドは1965年、アメリカはサンフランシスコで結成。

当時のアメリカは泥沼化するベトナム戦争を背景に、社会的な鬱屈が怒りや反抗となってそこかしこに溢れ出していた時代。

大人が押し付けた価値観への意趣返しとして、若者たちが先導したカウンターカルチャーも、当時の怒りの発露といえる。

そんなカウンターカルチャーの一翼を担う、サイケデリックロックの代表的バンドとされていたのがグレイトフル・デッドだった。

機能よりも堪能を選んだ組織

グレイトフル・デッドが最も活躍していた時代は1960〜1970年代。

この時代、アメリカではヒッピームーブメントが起こってるわけですが、実はこの「ヒッピー」のもつ思想の根源がビジネスを成功させる上でとても大事なことだと認識させられた。

それは他人と比較することを止め、かわりに「より気持ちよく、より楽しく、へらへらと物腰柔らかく居る。」

ちょと言葉にしてしまうと形容しがたいですが、具体例を上げて見てみると…

たとえばグレイトフル・デッドのファンのスティーブ・ジョブズ。実はこのジョブズも、「より気持ちよく、より楽しく」という概念を取り入れ成功している。

彼は言わずと知れたiPhoneの生みの親ですが、iPhoneが爆発的に売れた背景には当時、斬新なデザイン性という部分が大きかった。

今まで数十個もあったボタンを取り除き、画面を「指」で撫でる操作感。
機能よりも官能。快楽原則を何よりも大事にして創り続けるという部分ではグレイトフル・デッドと全く同じ。

アップル製品に限らず、欲しくなるもの、使いたいツール、洋服でも食べ物でも「うまく説明は出来ないけど、欲しいったら欲しいのー!」「よくわかんないけど、このツール楽しい!」「この服超可愛い!」みたいな純粋な「欲」に人間は従う事が多いと僕は感じている。

売っていたのは商品ではなく「体験」だった

特筆すべきグレイトフル・デッドのマーケティングの素晴らしいところはなんといってもコンサートです。

従来のアーティストはCDを「売る」ためにツアーを組んだりしていた。

そんな基本の音楽のビジネスモデルから、あらゆる規制を取っ払ったときに生まれたのが
ライブから収入を得ることに全力を注いだグレイトフルデッドのこれまでに無い「ファン体験」。

音楽業界がレコードを売ることが中心でそのためにツアーをしていた頃から、ライブが中心のビジネスモデルを築き上げました。これが後に音楽業界の「常識」を覆す、新しいマーケティング手法となる。

通常、音楽コンサートは録音はおろか、撮影すらも禁止というのが常識。

しかし、このグレイトフルデッドのすごいところは、ほかのバンドと違って、観客によるライブの録音を奨励していた。ということ。
しかも、ライブを録音するファンは「テーパー」と呼ばれ、彼らがなるべく高い音質で録音できるよう専用の場所がミキシング・コンソールの後ろに設置。

テープをコピーしたり共有したり創作したりすることを、グレイトフル・デッドは許した。その唯一の条件は、商業目的で録音を販売しないこと。

↑ LIVE音源を録音する「テーパー」と呼ばれる人たち。

ここで忘れてはならないのが、これがYouTubeのYの字もなかった時代ということ。

おそらく1960年代の考え方だと、「そんな無料で何曲もライブ音源を録音されちゃったら商売あがったりだぜ」なんて考えに陥りがちだけど、グレイトフル・デッドは、逆に音楽というコンテンツを無料で提供することで、人々はデッドのコンテンツに関心を持つ。
そして、だんだんと親近感を抱き、いつの間にかグレイトフル・デッドの商品・サービスにお金を払うようになる。仕組みを作った第一人者。

さらに、この「テーパー」が録音した音源は、その日来れなかったファンからすると当然「お宝」だから、まだ聞いていないファンからすると喉から手が出るほど、欲しい代物なわけ。

ここで素晴らしいのは、このファンはその音源を貰う「対価」を「お金」でなく、他の「テープ」で返す。ということ。

SNSなんてない時代ですがこれにより、音源と音源が様々なシーンで飛び交い、結果的にグレイトフル・デッドという名を、とてつもないスピードでアメリカ全土へ知らしめることに繋がった!

マーケティングは実験のくり返し

しかしながら、コンサートを繰り返し行なっていても、レコードと同じ演奏では、コアなファンでも飽きてしまうのが現実ですが、グレイトフル・デッドのすごいところは毎回違う演奏にあった。

グレイトフル・デッドは全部で2,300以上ものライブを行ったが、即興による演奏スタイルを取ったため、それぞれまったく違う内容だった。ジェリー・ガルシアによると、ライブの80%は即興で、ほかのバンドのように同じ曲を同じように演奏するスタイルに近いものは、20%だった。

これにより、「今日はどんなサウンドを聴かせてくれるのだろう」とファンが心待ちにするという現象が起こるわけで。


時代が流れるにつれ、1971年の○月○日のLIVEは特にすごかった!なんて噂になると、ファンはその当時の音源を欲しさに探し回る。
そしてそれを手に入れ、また別のファンに聴かせる。これの繰り返しにより、ひとり、またひとりとファンは生まれていくことになる。

アナログだけど、実はこれは今僕たちがSNSでやっていることとほぼ同じことじゃないか。

「シェアする」という概念をデジタルが発達する前の時代からグレイトフル・デッドは実践していた!!

まとめ

ライブは録音OKで聴き放題。それなのに年間5000万ドルも稼ぐ。

ビートルズより、ストーンズより、儲けてしまったバンドの秘密、それは、フリーでシェアでラヴ&ピースな21世紀型ビジネスモデル。

さらに、グレイトフル・デッドの教えを実践する、グーグル、アメリカ陸軍、COACH、Kindle、アマゾン、マクドナルド、ビル・ゲイツなどの事例も満載で…このブログですべてを紹介するのは難しいので、気になった方は一読されることをおすすしたい。

自分の仕事もマーケティングなどを行う立場なので、本書に書かれていることは「目からウロコ…」というよりは、自分が意識して取り組んでいる事が多かったように感じる。
しかしながら本には説得力があって、漠然と「こうしたらいいなあ」と思っていることを言語化して後押ししてくれていて、「そうそう!そうだよね!」とか、「ああ、そのとおりだよね…」と思う箇所が沢山あった。

もともとこのグレイトフル・デッドのファンの自分としては、「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」は、自分の感性にものすごく刺さった上に、自分の業務ともダダ被りで、あまりに自分にぴったりすぎる本だった。

特にガチガチのマーケティング本は苦手。という方も、割りと気楽に読める。それでいて内容は本物。という感じです。個人的に小売業の方はもちろん、あらゆるサービスを提供したりされている企業様には一社に一冊おいていただきたい本。

最後にYOUTUBEから一曲。

グレイトフル・デッドの曲も好き嫌いがはっきり分かれるのですが、初めて聴かれるならまずはこの曲はいかがでしょうか。

 

“Sugar Magnolia”

Grateful Dead

このアメリカ全開な感じがたまりません(笑)

 

 

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