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謹賀新年2020年

2020.01.02

新年明けましておめでとうございます!

さて本日、新事務所にて仕事をしております。デスクの配置や備品等すべて完璧には揃っておりませんが2020年元旦よりスタートを切れました。

数字で表される経営に対するデザインの力

米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表しました。

Design-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り:

  1. 過去10年間で上場している
  2. 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる
  3. デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている
  4. 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している
  5. 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている
  6. 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している

デザイン施策の計測方法とその活用事例

マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語っています。あのマッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測しています。

1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用

例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。

2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計

例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。

3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる

例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにしました。

4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨

例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出しました。

リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかりました。

逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあったということでしょう。

デザインが経営に与える具体的なインパクト

デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れています。

商品のクオリティに対するインパクト

  • ユーザビリティ改善: 81%
  • 顧客満足度向上: 71%

業務に与えるインパクト

  • 社員の作業効率の向上: 33%
  • 商品の市場リリーススピードの向上: 29%

会社の利益に対するインパクト

  • 売り上げの向上: 42%
  • コンバージョン率の向上: 35%
  • コスト削減: 30%

マーケットポジショニングに関してのインパクト

  • ブランド価値向上: 39%
  • 新しい市場参入への効果: 25%
  • デザインパテントや知的財産権への効果: 13%
  • 評価額や株価への効果: 10%

2019年はデザイン経営元年

グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じています。

去年は予測した通り、主に下記のような変化がありました。

  1. デザインが経営資源の一つの軸に
  2. 差別化要因としてのデザインの役割
  3. データ活用とAI連動の実用化
  4. デザイナーの概念の変革
  5. デザイン会社と企業の連動が常識に

世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値

これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきたのが多く感じます。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになります。

現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分です。

数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきていると感じています。

価格競争から抜け出し付加価値で勝負

今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきています。

言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってきます。

さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ないですよね。

プロダクト重視からサービス重視のビジネスへ

メーカー系を中心にこれまでの多くの企業、特に日本国内では世界的に見ても高い技術力を武器に、それがどのようなビジネスに変換出来るかを考えながらプロダクト作りを進めて来たケースが多いです。

しかしながら、今後もその方法を続けて行くとユーザー視点でのサービス化が難しくなり、正しいユーザー体験の提供も出来にくくなってしまいます。

近い将来、多くの企業においてビジネスモデルの変革を余儀なくされるでしょう。そのためには、デザイン思考などのプロセスを通じて、ユーザーを理解するマインドセットを持つ文化が必要になってくると思います。

そんなことを考えていると、私のデザイン業というものはかなりユーザー体験を実装していてるサービスを提供しているな。と思いました。
ついに2020年度のスタートが切られたわけですが、これからは今以上に取捨選択していき、自身の社業でも同じマインドである「引き算の美学」から、「いらないもの」はどんどん捨てて、本当に必要なものだけを残し、またブラッシュアップしていきたいと思います。

皆様本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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