360℃ Google street view

TAKASHI BLOG

企業は社会の公器

Written by Takashi Yamanaka

人財について。

先日経営者仲間と話していてストンと腑に落ちたことがありました。

「部下が育たない」「人が育たない」という言葉。「アイツはなんでダメなんだろう」と育たないのは、その人が悪いからだ、という感じに聞こえることも。

今回はその人材育成について僕の敬愛する松下幸之助さんの考え方を元に色々と書いていこうかと思います。

まず信頼する

創業間もなくのころのことであった。

ソケット製造のポイントは、煉物という材料の製法にあった。その煉物の技術は、いまでいえば企業秘密、多くの工場では技術が外にもれることを恐れ、工場主の兄弟とか親戚などにしか製法を教えていなかった。しかし、松下幸之助さんはそれを秘密にはせず、入りたての小僧さんにまで技術を教えた。

「秘密にしておくのは、余計な気を遣って面倒だし、だいいち能率が悪い」というのがその理由だった。同業者のなかには、そんな松下幸之助さんのやり方に忠告する者もいた。

しかし結果は、大切な製法を知らされ、また重要な仕事を任されたことを意気に感じ、かえって従業員の士気が高まったというのだ。

この経験から、松下幸之助さんは、「人間は信頼されれば、それに応えようとするものだ。信頼してだまされるのなら、もって瞑すべしだ」と考え、その後も人を信頼し、思い切って仕事を任せてきた。人間は信頼に値するもの。これも松下幸之助さんの基本的な人間の見方の一つである。

松下幸之助の人材育成

そこでご紹介したいのが松下幸之助の人材育成論。

創業間もない頃、松下幸之助さんは従業員らにこう語っていました。

「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら……、

松下電器は人をつくるところです。

併せて電気器具もつくっております。

こうお答えしなさい」

 

それから随分と時が経ち、当時の心境を後年、幸之助さんはこう説明しました。

 

「当時、私の心境は『事業は人にあり』、つまり人がまず養成されなければ、人として成長しない人をもってして事業は成功するものではないという感じがいたしました。

したがいまして、電気器具そのものをつくることは、まことにきわめて重大な使命ではございまするが、それをなすにはそれに先んじて人を養成することでなくてはならない、という感じをしたのであります。

日常の製作の仕事をするかたわら、そういうことを感じまして、そういう話をさせたのであります。

そういう空気はやはりその当時の社員に浸透いたしまして、社員の大部分は松下電器は電気器具をつくるけれども、それ以上に大事なものをつくっているんだ、それは人そのものを成長さすんだ、という心意気に生きておったと思うのであります。

それが、技術、資力、信用の貧弱な姿にして、どこよりも力強く進展せしめた大きな原動力になっていると思うのであります」

単に技術力、営業力のある社員を育成すればよいわけではなく、自分たちの仕事の意義、社会に貢献するという企業の使命をよく自覚し、自主性と責任感旺盛な人材を育成すること。

社会人としての自覚をもち、経営の分かった人間を育てること。

それが松下幸之助さんがめざす人材育成だったということ。

企業は社会の公器(こうき)

 

「企業は社会の公器(こうき)」

 

この言葉が松下幸之助さんの人材育成の前提にもなっている。

企業は、たとえ自分が興した企業でも、世の人々がいて、世の人々が求めるからこそ、存在する公の機関、つまり、「公器(こうき)」と考えていた。

そう考えると、企業の活動で人を使うことも、自分のコト(私のコト)ではなく、公のコトだと考えていたわけです。

そのことについてはこう語っている。

 

「自分1個の都合、自分1個の利益のために人を使っているのではなく、世の中により役立つために人に協力してもらっているのだということになろう。

そしてそう考えれば、やりにくいことをあえてなし遂げる勇気も湧いてくる。

たとえば、人を使って仕事をしていれば、時には叱ったり、注意をしなければならないことも出てこよう。

ところがそういうことは、人情として、されるほうもするほうも、あまり気持ちのよいものではない。ともすればめんどうだとか、いやなことはしないでおこうということになりがちである。

しかし、企業は社会の公器であり、人を使うことも公事であるとなれば、私情でなすべきことを怠ることは許されない。信念をもって、世の中のために、叱るべきは叱り、言うべきは言わねばならないということになる

経営者の使命感がなければならない

「経営に対する経営者自身の使命感。そういうものがなかったら、人を育てようと思っても人は育ちません」
松下幸之助

何も古い考えではないと思う。むしろ、今後AiやIoTといったテクノロジーが浸透していった未来では絶対的に必要な考え方ではないだろうか。

経営の神様と言われ、パナソニックというビッグカンパニーを一世代で大成したが故の人の言葉。

時代背景も捉えると、ライン作業にシフトしていく過渡期であった製造業。従順なまでに従う部下を配置し、右へ倣え右を徹底することでより、効率的に作業を切り出すことが出来ただことは容易に想像できますが、この時代でも「人を育てる」というある種の使命感にも似た思想は、やはりテクノロジーが発達した「今」だからこそより説得力が生まれるものだと感じています。

小手先の感覚では絶対的に到達しえない、松下幸之助さんならではの根本的な部分をしかっりと捉えたこころに響くメッセージだなぁ。と改めてリスペクトの意を込めて綴りました。

Pocket