360℃ Google street view

TAKASHI BLOG

思い出の場所っていくつあるだろう。

Written by Takashi Yamanaka

初めて「家系」ラーメンを口にしたのは確かアパレルをやりだした二十歳のときで。代官山で仕事を終えた男四人は、車に乗って、江ノ島まで走らせた。

真夜中。

「うわ〜これがあの江ノ島か」って真っ暗な中で観たあの光景を覚えてる。

夏だった。

あの時、車の中ではBGMは「Sex Pistols」のanarchy in the U.Kが大爆音で流れていて、大声で歌っていた。

なんか切り取って振り返ると、映画のワン・シーンみたいな景色だ。

実際はそんないい物じゃなく。
別に何をしたわけでもない。
何か特別な出来事があったわけでもない。

だけどあの時の湿った風や、すれ違いザマに睨みをきかせたアメ車乗りの兄ちゃんも。風化はしていないのだ。記憶という部分の中でそれらの存在は確かに居る。

「にんにくと生姜を入れるとうまいよ?」

家系ラーメン初心者の僕に誰かが、そんな風にしてアプローチしてきた。

店の名前も忘れてしまったけれど僕は本場、神奈川の「家系」ラーメンを食べて、静かに感動したのを覚えてる。

「うまっ」

「初めてなんだ」って言えなかったと思う。恥ずかしくて。
だから、ひとりで、心の中で、静かに感動した。決して表には出ないように。

だけど、そんな何気ない日常の一ページが、時折、愛おしくなる。

誰かと一緒に行った海。その日初めて会って、仲良くなった人も居た。
そんな思い出の破片は、30そこいらという年月しか生きていない僕でさえも、ずっと遠くの地平線のような場所へとすでに消えてしまった。
けれど、心のどこかでその「フィーリング」だけはしっかりと残っていて。

そう。初めて聴いたはずであった彼らのバラードの時もそうだったね。

“Memory Motel”
The Rolling Stones

 

 

Pocket