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TAKASHI BLOG

この灯りに、そして街に恋をして 〜ベトナム・ホイアン〜

Written by Takashi Yamanaka

裸電球のあかり、コールタールを塗りたくった家々。
そして街の匂いまでもが懐かしく、風化しそうになりながらも、その人々はとっても輝いていて

やっとこれたのだ。

観光客と街の人々は、活気に満ち合われているけど、とても時間はゆっくりと。でも時間は確かに流れていて。不思議。

そして脈々と続く、この伝統ある景色に。僕は思わず日本の「京都」を重ねずにはいられなかった。

ダナンに戻ることすら躊躇してしまう、この街に。

まるで別れを惜しむ恋人のように、僕は魔法にかかってしまったかのように恋をしてしまった。

ベトナムを期に決めたのだ。

二十代の時にできなかったこの旅を。

急ぎ足で。

そして駆け足で。取り戻すように。

流れ行く川は海に向かい海水へと混ざる。

そんな、当たり前の道理すらも考えさせてくれる。幾多もの人々が訪れては帰る、この街に。そのうちの一人となった僕は、一体ここから何を刻んで持って帰ることができるだろうか。

いつかまた会おうねと交わした少年との約束や、「ねぇ一緒に街を歩かない?」と声をかけて優しくしてくれたタイ人の彼女。

僕にかけた声は今となってはベトナムの湿った風に乗って、どこかへ消えてしまったけれど。

こんな旅に出れた事を幸せに思う。

目的地のホイアンに着いたときには午後5時を回っていた。

ランタンはライトアップされ、本来の街並みを表していた。

それは、まるで神隠しにでもあったかのように、別世界に連れて来られてしまった感覚。

ひとごみもすごいけれど、その雑踏さえも東京などとは違って、とっても人間味があって。

こんな街が世界に、あといくつ残っているのだろう。

オリエンタルな空気感と、街の設えが見る人を魅了してやまない。

終着駅というものがあるのなら、それは一体どんなところだろう?「旅」というのはどこまでディープなところまで潜り込めばゴールなのだろうか。

だけど、旅行者の多くはゴール地点なんてものは本当はないのは、実はみんな知っている。

川には灯籠流しが行われその横を船がゆく。

ゆらり、ゆらりと川の流れにつられて揺れる灯籠が、なんとも幻想的で。思わず見入ってしまう、こんな風景が目の前には当たり前の様に広がっていて。

記憶の断片を整理しながら、そしてキーボードを叩きながら、この感じた空気を。肌で感じたあの感覚を。誰かに伝えたくて。

夜になってからがホイアンは本当の姿を見せる。

ライトアップされたランタン(提灯)が人々を引き寄せる。

そしてディナーには、ベトナムスプリングロールを頂く。
ライスペーパーに肉、卵、野菜を乗せて巻いて食べるこの料理がまた美味しくて。

香辛料のピリッと効いたソースに付けて頂くこの料理にも、恋に落ちてしまう。

料理ってやっぱり現地で食べるのが、なんにしても一番いい。

その土地特有のスパイスが脳裏にしっかりと刻まれる。

路地裏には一体どれだけの人が歩いていったのだろう?と考えてもキリのないことを考え、見知らぬ土地に、路地裏に足を踏み入れるその勇気をいつだって持っていたい。

その向こう側ににある景色を、ただ見たくて。

雑多に並べられたマーケットのアクセサリーも、それはいつか観た恵比寿にあるジュエリーショップよりもドキドキした。

そうかと思うと、次にはベトナムの日常が目の前に広がる。

その横では籠から出された鶏たちが食材用に調理されていく。

そんな何気ない彼らの日常に、目をそむけることもなく、ただただ眺めていた。

食べるということ、それは生きるという事の裏返しであることを彼らは無言で僕に教えてくれた。

日本人が考える「安定」という職業は彼女たちには無い。

むしろ、この世には「安定」というものが「無い」ことを彼女たちは日本人よりも知っている。

 

****

 

短いようで長くも感じた10日間。

さぁ。今回の旅もいよいよ終わりだ。

ホイアン市街地のカフェバーでは、地元のミュージシャンが、歌ってお客さんを楽しませる。ボブ・マーリーやニルヴァーナ、イーグルスなどいろんな名曲をアクーステックver.で聞かせてくれた。

「Thank you!! Gracias!!  謝謝!!  今日は日本人の君も来てるから、ありがとう!!」

彼は僕に微笑みながら、そう言ってくれた。

こんな心地いい環境で仕事ができてしまう自分の職業を、自ら羨ましいな。とさえ感じた。あの瞬間。

この日常を切り取って、このパズルのようなワンシーンをつなぎ合わせて、また新しい仕事に挑戦したいとさえ思った。

 

Vietnam Hoi An

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